しなのいえ工房が手がけた家を
ご紹介します。

【長野市】北尾張部の家

所在地 家族構成
長野市北尾張部 祖母1人+夫婦2人
竣工年 延床面積
平成27年12月 246.08㎡

家族代々と大切に住み継いできた住まい。しかし一昨年の地震で瓦ずれによる雨漏れなど、様々な部分に支障が出てきたため、これを機にとスケルトンリフォームのご相談を承りました。今回は2世帯住宅の設計をいたします。
スケルトン、つまり丸裸。基礎と骨組の状態にして、間取りも変えて、新築より安く。性能は新築以上に。そして既存のお住まいの良いところを活かす設計により、当時の記憶と共に未来へと継承していきます。

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施工前

昭和50年に建てられた立派なお家です。様々な個所に支障は出ていましたが、軸組も割れが起こったり弱っている部分がほとんどなく健全でした。
なんといっても、240mm角のケヤキ通し柱が(ケヤキはねじれやすいのです・・・)、ねじれもなく、きれいに経年変化していました。この柱を活かす設計ができないかと試行錯誤いたしました。ケヤキの通し柱がどう生まれ変わるか、お楽しみに。

解体

骨組を傷つけないように、やさしく分別しながら解体していきます。
スケルトンリフォームの良いところは、骨組まで見えてくるので、不具合等がすぐ目で見て発見でき、対応しやすいところです。この後耐震診断に基づき、必要な個所の補強を行います。
土台の下に布基礎がない箇所は新たに追加施工し、地震に耐えられる壁を設置します。

屋根 葺き替え前

瓦屋根で雨漏りが・・・という場合、どうしたらいいのでしょう。
そもそも瓦の施工は、簡単にいうと重ねているだけのものですから、暴風雨などの時には当然のごとく瓦の裏に水が回ります。 瓦の下には、瓦の裏に入り込んだ水が木部に到達しないよう、下葺き材を施工してありますが、40年ほど以前では杉皮(文字通り、木の杉の皮です)が使われていました。 杉皮が劣化すれば、瓦の裏の水は木部へ到達してしまいます。
その後、アスファルトルーフィングという防水性・耐久性の高いものに変わっていくのですが、屋根の雨漏りをきちんと直すには下葺き材を取り替えないといけません。 下葺き材を取り替えるということは、全面改修になってしまいます。

屋根形式変更

和風デザインである入母屋の屋根骨組を、寄棟に変更します。

屋根 葺き替え後

リフォームで屋根を葺き替えるなら、軽い屋根にするとそれだけで耐震性能が上がりますので、金属屋根(ガルバリウム鋼板)をおすすめします。
金属屋根(ガルバリウム鋼板)は、15年保証のものがあるので長期間メンテナンスフリーです。他の軽い屋根材として、石粒をガルバリウム鋼板に吹き付けたものもあり、30年保証の製品があります。 屋根材から耐震改修を考えることも大切です。

耐震補強

さて雨仕舞がしっかりしたところで、耐震補強工事に取り掛かります。
 何十年か前の住宅は南面に大きな窓がたくさん取り付いている設計が多いです。 裏を返すと、壁が少ない。 なので、地震に弱い。 さらに、筋交などが入っている耐力壁の配置バランスが悪いと、壁の量は足りていても倒壊してしまう場合がありますので、そこも確認しなければなりません。
解体工事が完了したところで、現状の土台や柱・梁の位置や断面を調査します。 また、仕口(梁同士の接合部)に適切な金物が使われているかも調査します。 そして、調査結果を図面化し、補強計算します。 その結果により、柱や梁を追加したり、筋交を追加します。また火打ちの数も不足していることが多いので、追加します。これで、地震が来ても安心できる建物に生まれ変わります。新しい間取りにするためにどうしても抜かなければならない柱がある場合は、それに伴い別の箇所に柱や梁を設置します。

床下 防湿処理

まず床下の状態が乾燥しているかどうか確認します。
床下から湿気が上がると、床下空間の木部が腐ってしまったり、白アリが生息しやすくなってしまいます。現在はベタ基礎や床下に土間コンクリートを打設し、地中の湿気が上がらないように工夫されていますが、少し前までは床下が土のままという状態が当たり前でした。せっかく骨組みの状態にしたので、防湿シートを施工し床下に湿気が上がらないよう、0.2㎜の厚手のシートを敷きこみます。

床断熱

そもそも今までの在来工法が寒いのは、床下空間と壁内空間がつながって気流が生まれる事が原因でした。 そこで、床下の空気が壁内に流れ込まないように「気流止め」を施工します。次に根太下の大引間に断熱材を施工します。これを大引間断熱といいます。そして根太を施工し、根太間にも断熱材を施工し、(この根太間しか断熱しないことが多いです・・・)室内の湿気が断熱材内部に入らないよう防湿シートを施工します。断熱材の施工厚さは、大引間90mm+根太間50mm=140mmとなり、十分な断熱性能の床になります。またこのように施工しておくと「熱橋」=ヒートブリッジが少なくなり、床が暖かくなります。

床断熱 気密処理

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、防湿シートが施工してある状態です。 壁際の柱・間柱・耐力壁部分等、防湿シートの切れ目となってしまう箇所を丁寧に気密テープで施工します。 これでやっと荒床(下地合板)施工になります。

外壁 断熱改修

壁の断熱改修を見てみましょう。まずは外張断熱から。
既存の柱の外側に断熱する厚さの下地を取り付けます。その後、外張断熱分の断熱材を施工していきます。
この画像ですが、レアです。なぜなら断熱材を施工後、雨に濡れないようすぐに覆ってしまうので、なかなか見ることが出来ないからです。これを見ていただくと、断熱材がぎっしり施工され、断熱欠損がとても少ないことがお分かりいただけるかと思います。木下地ではこうはいきませんよね・・・
ぎっしりと断熱施工できるポイントはKMブラケット!KMブラケットは(画像で断熱材の間からちらっと見える青い支持具)、外張断熱施工の外壁・屋根における断熱材と外装材の取付専用支持具です。ポリカーボネート製で熱伝導率が小さく、又、取付面積比が小さいためヒートブリッジを解消できるのが特徴です。外張り断熱施工における外装材支持力への不安も軽減できますね。

外壁 防湿シート施工

断熱材の施工が完了したら、すぐにタイベックシート(防水透湿シート)を施工し、雨で濡れないようにします。
そして、窓を取り付け、外壁下地の胴縁を施工。
ここまでくれば、外部雨仕舞はOKです。

内壁 断熱改修

元の壁は120mmの柱が使われています。そこに100mmの窓枠下地を取り付けます。 これで壁厚が220mmとなります。
上の写真は付加断熱が施工され、軸間の充填断熱がまだ施工されていない状態です。 ここに断熱材を施工して、防湿シートを貼った時が下の写真の状態となります。天井の下地を間仕切下地より先に施工すると、気密シートの施工が 楽になります。

内壁 気密処理

上の写真は、天井にダウンライトを埋め込むための下準備BOXです。家の中の空間を気密シートで包むので、穴となってしまう照明取付部分やコンセント部分などの気密処理も欠かせません。BOXに気密シートを取り付けて、ダウンライト部分の気密を確保します。
下の写真は、天井にシートが施工され、BOXが取りついたところです。

天井裏 断熱材吹き込み

天井材を施工してから天井裏に断熱材を吹き込みます。

ユニットバス・玄関土間下断熱

ユニットバス・玄関土間の下も、3種bという高性能のポリスチレンフォームで断熱します。さらにポリスチレンフォームの継ぎ目部分や、給排水ホースの周囲から隙間風が入らないように発泡ウレタンで完全に密閉します。(写真の白い部分が発泡ウレタンで塞いだ箇所です)
これで断熱工事は完了です。

石膏ボード

だんだんと部屋の雰囲気がわかってきましたね。
天井・壁に、耐火性のある石膏ボード(プラスターボード)を貼ります。写真ですとピンクの部分が石膏ボードになります。石膏ボードの厚みですが、9.5mmと12.5mmの物をよく見かけますが、壁の面材としての、強度、剛性(変形しにくさ)はたかが3mmといえどもかなり違ってきます。通常9.5mmは天井、12.5mmは壁に張ります。壁はぶつかったりする事が多いので厚い方を張るのが普通です。ちなみに9.5mmは準不燃材料、12.5mmは不燃材料となっています。大きな施設の調理室の天井や、調理室の上階の部屋などに厚いほうが使われることが多いです。
ちなみにこのピンクの石膏ボードは、「ハイクリンボード」と呼ばれるものを使用しています。従来の石膏ボードの中にホルムアルデヒド分解剤を混入して製造した製品で、空気中のホルムアルデヒドを吸収・分解してホルムアルデヒド濃度を低減する石膏ボードです。強度、不燃性、寸法安定性、施工容易性など、石膏ボードの優れた性能は全て変わりません。

外壁仕上げ

外壁材はスタッコフレックスを吹き付けます。
スタッコフレックスはアメリカで開発された超弾性塗り壁材なので、従来の塗り壁材で発生していたクラック問題を、優れた伸縮性能により最小限に抑えることができます。また原材料はすべて自然素材ですので、地球にも人間にも優しい塗料となっています。他にも通気性・耐損傷性・防火性・防水性にも優れ、多くの性能に有しています。
塗料をつけたくない窓や基礎をしっかり養生をして、吹き付けていきます。

完成 外観

ついに完成しました!
内装に無垢の木をふんだんに使用しましたが、軒裏にヒノキを使用するなど、外装にも無垢の木を使用しています。
また玄関ドアには、木質系断熱玄関ドアのスウェーデンドアを採用しました。温かな木の質感が、やさしい家の顔を演出します。こちらも天然素材を使用しており、耐候・耐久性に優れています。長くお使いいただくほどにその良さを実感し、愛着を持っていただけると思います。

完成 玄関

大きな収納を設けました。これでご家族が増えたり、来客が来ても安心です。コートなどの衣類をしまえるクローゼットもついているのでお出かけの際は便利です。

完成 リビング1

今回は天井照明を少なくして、灯りの重心を低くした設計としました。
キッチンの作業スペースは、天井付のLEDを使用し手元を明るく照らしていますが、人がくつろぐスペースでは、照明の高さを低くすることで落ち着きのある心地の良い空間になります。様々なシーンに対応できるよう調光スイッチで光のボリューム調節をします。

完成 リビング2

床材は節の少ない綺麗な上小ランクのヒノキを採用しました。
また、TVボードや食器棚、ダイニングボードなどの家具は、木をふんだんに使ったオーダーメイドです。

完成 化粧柱

家族が集まるリビングにあるケヤキの化粧柱。
なんとこちらは既存の柱をそのまま利用しました!
以前と同じ場所で、時代と家と家族を見守り続けます。仕口の部分は、怪我をしないようにヤスリをかけただけで、あえてそのままの形で残しました。古き良き物は記憶も宿しており、それは私たちにとって懐かしくもあり新鮮でもあります。

完成 パントリー

キッチンに隣接して設けられている収納スペースです。 食品や飲料、日常使う頻度の少ない調理器具や什器類をストックするために利用します。
棚は可動式となっており、どんな大きさのものも収納することができます。
また外に通ずるドアがあるので、外の畑でとってきたお野菜を、そのままパントリーを通してキッチンへ楽々運ぶことができます。

完成 ランドリースペース

2階にはランドリースペースがあります。ここで洗濯物を干していただくようになります。物干し金物が上から吊るされているので、とてもスッキリとしたデザインです。人それぞれのの身長に高さを合わせることができ、支柱部分の取り外しが簡単に行えますので、来客の際はとても便利です。
階段への落下防止の柵にもなっているパネルヒーター。夏には冷水が、冬には温水が循環し放射することで、やわらかい室内気候をつくります。温水温度は家の性能にもよりますが、A様邸では35℃くらいで暖房することができるので、小さなお子様のヤケドの心配もありません。また音や気流が発生しないのも特徴です。

完成 和室

シンプルなデザインの和室にいたしました。天井は「竿縁天井」で「イナゴ天井」とも呼ばれます。木肌の立体感が空間に趣をもたらします。畳縁も落ち着いた色を選び、人々の心にやすらぎとゆとりを与えます。

完成 洗面脱衣室

洗面脱衣室の家具も造りました。洗面化粧台と収納棚は一体設計で、タオルや衣類・メイク道具など様々なものをたくさん収納することができます。

完成 造作家具

コチラの造作家具の天板はニレを使用しました。主に家具材や内装材などに使用され、割れにくいという特徴を持っています。割れにくいという特徴を活かし、太鼓の胴の部分の材料や彫刻の材料としても用いられます。
角となる部分(家具、手摺、窓台等の角)はしっかりと面取りをします。

完成 雨樋

雨樋を支える金具が、よく見かける雨樋と異なる位置にあります。普段の生活の中では、雨樋の下部が目に入りますが、このように金具が見えないとスッキリとした印象になります。